2016年5月17日火曜日

「女性活躍推進法」に思うこと

 男性並みに働くことを突き付けられた男女雇用機会均等法施行から30年とは、早いものです。均等元年から始まった私の職業人生も30年を突破しました。入社した企業では当時、新入社員合宿研修において、(今では考えられないような?)その日数や内容に男女で当然のように差がありました。大胆にも人事担当役員に抗議したことを今でも覚えています。
 時は流れましたが、すてっぷで業務に従事する中で感じるのは、働く女性を取り巻く問題の本質は、現在に至るまでほとんど変わっていないのではないか、ということです。

 今年4月、女性活躍推進法(女性の職業生活における活躍の推進に関する法律)が施行され、従業員301人以上の企業には、女性の活躍状況の把握・分析、行動計画の策定、情報の公表等が義務付けられました(300人以下は努力義務)。厚労省サイトには「女性の活躍推進企業データベース」が掲載され、続々と各企業が行動計画や女性活躍状況を公開しており、業種別・都道府県別・規模別でも閲覧できるようになっています。

 では、豊中市のように、ほとんどが中小の企業・事業所ばかりの地域では、「女性の活躍」は、どのように進んでいくのでしょう。「中小では、女性活躍やワーク・ライフ・バランス、ダイバーシティなんて無理ですよ、余裕がないから」という主旨の意見もよく聞きます。
 でも、小さな会社組織の方が柔軟性も高く、トップの意思決定のスピードも速いと考えられますので、(大企業のような華々しい取り組みは無理でも)社長さん次第で、ニーズに即した女性のための諸策を講じやすいかもしれません。
 実際に、私が以前に企業訪問してお話しを聞かせていただいた豊中市内のある企業では、女性社員の出産を機に、基幹戦力が離れていくのは困ると考えた社長が、柔軟な働き方ができるよう制度を見直す決断をされ、働き続けたい女性を職場全体でサポートして受け入れる体制をつくっておられました。

 このように、多様な働き方や価値観を受容するマネジメントが浸透すれば、女性社員がマミー・トラックに陥ることなく、自発的に中長期的なキャリアプランを描ける環境になっていくのではないかと思います。また、統計上は育児参画したい男性が増えているらしいですが、その理想と現実とのギャップは大きく、「男性は長時間労働して当たり前」「育休を取得するのは女性」という職場における固定観念が未だ蔓延しているので、それが「女性の活躍」を阻害する一因にもなっているのではないかと感じます。

 女性活躍推進法をきっかけとして、男性中心の雇用慣行にどう風穴を開けられるのかが男女共同参画の視点からは重要になってきます。女性も含めて誰もがイキイキと働き、その多様性を組織内に機能させていくことが当たり前になったら、そして、それが結果的に企業の成果(収益)につながるという方向にベクトルが合えば、政府の掲げる「女性活躍の推進」においても一定の成果が見えてくるのかもしれません。

K.N