2014年2月4日火曜日

主催講座「育児雑誌でおしゃべり ~子育ての「呪い」を解く」 3回講座が終わりました

主催講座「育児雑誌でおしゃべり ~子育ての「呪い」を解く」 3回講座が終わりました。
2月14日には番外編として「まわしよみ新聞ワークショップ」を開催します。

今回の「育児雑誌でおしゃべり」講座は、いつもと違う読み方で「育児雑誌」を読み解き、自分と子育てについて考えておしゃべりをしようと企画しました。 
講座の進行役を務めたのは「すてっぷメディア・リテラシーチーム」の森山輝子(とよなか人権文化まちづくり協会)、久保敬(おとなの学び研究会)、西村寿子(財団事務局長)です。
講座開催に向けて担当職員とともに数回の打ち合わせを重ね、分析シートの開発やプログラムの検討などの準備を重ねてきました。
1月16日、23日、2月1日と開催しましたが、和やかにまた活発な分析作業や話し合い、発表が行われました。3回めには4コマ紙芝居をグループで制作して、創造の楽しさを味わいました。
ここで少し3回の講座を振り返ってみましょう。


●第1回(1月16日)「雑誌の「顔」である表紙のメッセージ」

初回なので参加者は少し緊張していますが、赤ちゃんが3人もいてにぎやかです。
最初の活動は「メディアと私たちのつきあい方」シートを各自が記入した上で、4人グループで自己紹介をかねて話し合いをしました。
 
第1回めは「表紙」の分析です。
日頃は何気なく見ている雑誌の表紙ですが、よく見ると雑誌によって題字の文字の種類、大きさ、色も違います。
表紙に取り上げられている人物の性別、年齢、外見や人物を撮るカメラサイズやアングルも異なります。
文字情報を見ても雑誌のキャッチコピー、表紙の見出しにも意味が込められています。
 
2人一組で分析シートに沿って表紙の構成要素や見出しをテーマ別に分類してから4人で2冊の雑誌を比較しながら話し合うと色々と見えてきます。
最後は、グループからの発表です。
発表を通して「育児雑誌」が育児の担い手を母親だと想定していることや、キャッチコピーにある「かしこい子」「健康な子」を育てるというメッセージからプレッシャーを感じるという指摘もなされました。



●第2回(1月23日)「育児雑誌の紙面を分析」

さて、第2回めは「メディアと広告クイズ」から始めました。

◯メディアと広告クイズ
私たちの身の回りにあるメディア(テレビ、雑誌、新聞、ラジオ、インターネットなど)は、ビジネスとして運営されています。そこで、広告費について考えてみましょう。
Q1.  民間放送局の売上高に占める広告収入はどれくらいの割合だと思いますか?それはなぜでしょうか。
Q2.     全国紙はどうでしょう。それはなぜでしょう。
Q3.    日本の広告費はどれくらいの規模だと思いますか?
(ヒント:日本の文部科学関係予算の規模と同じくらいの金額です。)
Q4.  日本の広告費のなかでメディア別の比率を見た時に、大きい順に並べてみましょう。
 テレビ  雑誌  新聞  ラジオ インターネット

ふだんは考えたことがない問いを考えることを通して、メディアは自然に存在しているのではなく「産業・制度」でありビジネスとして運営されていることに気づきました。

第2回めは紙面構成の分析です。雑誌の紙面を1ページずつテーマに沿って分類すると同時にそれを「広告」「広告記事」「記事」に分類しました。
2人一組で1冊の雑誌を分析し、4人グループで2冊の雑誌を比較していきました。
グループの分析結果をホワイトボードに書き出してからグループ発表です。
発表では「育児をする上で困ったことを解決しようと雑誌を読むと、結局、何かモノを買うと解決する」と言われていたことに気づいた」、「オーガニックな生活を主張している雑誌が好きでよく読んでいるが、考えてみるとオーガニックな生活は実現しようとすると大変で”あこがれ”を売っていると思った」といった意見が出ました。
紙面を分析してみると分析したすべての育児雑誌では、政治や社会、経済など子育てや育児を考える時に背景となる情報がほとんど取り上げられていないことが分かりました。


●第3回(2月1日)育児には、正解もまちがいもない! ~「フツウ」を笑いとばそう!~
 
いよいよ第3回めは、「雑誌でおしゃべり」を通して気づいたり考えてきた「子育ての”呪い”」を笑いとばそうと「4コマ紙芝居」の制作です。

進行役の久保敬さんは教員である自身の経験を振り返って「教育の専門家とみなされている教員のなかにもメディアからの情報を通した思い込みがいっぱいある」と、メディアをクリティカル(多面的)に分析する大切さについて語りました。

メディアからの情報を通して、各自がたくさんの「フツウ」にとらわれているけど、そこから抜け出ることは実は大変なこと。だから、焦らず、無理せず、ぼちぼち、楽しみながらコミュニケーションしていくのが第一歩。そこで、今回は、育児雑誌には取り上げられていないオリジナルなメッセージを「4コマ紙芝居」で表現しようと提案しました。

参加者は「エーッ!何をさせるんや」と最初は感じたかもしれませんが、森山さんが2回の講座で出された意見を思い出させてくれたので、一人ひとり思い思いに4コママンガのイメージを考えました。

それからいつものように4人グループになり、一人ひとりのアイデアを紹介しながらグループのテーマや構成案を考えました。
そして、およそ1時間。
4コマ紙芝居の完成です。
紙芝居の「舞台」を使ってグループの発表を行いました。



発表に続いて一人ひとりが、講座の感想を語りました。 
・久々に「授乳、おむつ、抱っこ」と違う世界だった。いつもと違う人たちと話しができることは楽しかった。自分は育児グッズを買うのがキライでどうしようかと思っていた。今回参加して、結局自分を信じて買う時も買わない時も自分の決定に自信を持つことが大事だと思った。
・参加者の年齢の幅に驚いた。グループディスカッション、発表が楽しかった。
・テレビも何を見せて何を見せないか。自分の考えを持つ子を育てたいと考えて参加した。
・インターネットの情報に翻弄されていた。インターネットを見ていると子育てに関わる広告が現れて「これはなに?」という感じ。これまで子育てについて自分を責めていたが、講座に参加して「自分を責めないことが大事」だと分かった。
・メディアでは伝えられない「違う情報」を見つけるのが難しいと感じた。

進行役の久保さんが「人間は機会をつくって集まることでそこからコミュニケーション」が生まれる、と結んで講座を終了しました。

角度を変えてメディアを読み解くことを通して、いつもとは違うおしゃべりが生まれます。
そこで、番外編を企画しました。
3回講座に参加されていない方もお気軽にご参加ください!


●番外編「まわしよみ新聞ワークショップ」を開催!
 〜引き続きメディアでおしゃべりをたのしみましょう。

番外編として「新聞まわしよみワークショップ」を2月14日10時〜12時に開催します。

会場:すてっぷ
日時:2月14日(金) 午前10時〜12時
一時保育:1歳から小学校3年生まで(子どもひとりにつき525円) 2月7日までに要申込み。

1歳未満の赤ちゃんはいっしょに講座参加もできます。
一時保育のない方は申込み不要です。
気軽にお立ち寄りください。
当日、または前日の新聞をご持参ください。
持参できなくても会場で用意します。

F.K